川上弘美さん*

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

最近、秋めいてきて、川上弘美さんのエッセイを読みたい気分になり、パラパラと再読した。

なんで秋めいてくると川上さんのエッセイを読みたくなるのかというと、昨年の秋、ちょうど川上さんのエッセイにハマっていたからだと思う。

それに川上さんのエッセイの、ゆるゆるしつつもたまに切ないあの独特のかんじが、秋の夜長のリラックス読書タイムに非常によく合っている。

こちら『ゆっくりさよならをとなえる』には、川上さんの人となりが表れている文章がところどころに見られる。

いまの自分は中学生の頃よりもお金持ちになり自由になったことについては

『「学校指定の社会ノート」なんていうのを買わなくてもいい自由を、得たのだ。服や化粧品にお金を使わず、本と飲み代ばっかりに費やす自由を、得たのだ。』

とある。

いいね、このかんじ。

わたしの場合は本とカフェ代だけど、なんだか似ていて親近感。

それと川上さんはご自身の青春時代について

『かんたんにいえば、いわゆる暗く地味な青春時代を過ごしたということになろうが、青春のワタクシは大いに満足しつつ、日々一人で見る映画と一人で飲むコーヒーを満喫していたのである。』

とあり、さらに今のご自身について

『お酒を飲み、日本茶をすすり、部屋でじっと本を読み、少し孤独である。若いころと、あまり変わっていない。暗い地味な中年時代といえようか。中年のワタクシは、これはこれで、大いに満足なのである。』

とある。

これまたいいね、このかんじ。

わたし自身、ひとりでコーヒーとか飲みながら本を読んでいる時間が大好きだから、同じようなひとに惹かれるのかも。

川上さんのエッセイでまだ読んでないものもあるから、この秋もまた、川上さんのエッセイにハマってみようかと思う。